増加傾向のある性病、梅毒について

数ある性感染症の中で、梅毒は古くから知られていますが、ここ数年で感染者が増加傾向にあると国立感染症研究所や厚生労働省が警鐘を鳴らしています。

梅毒の疫学

梅毒はペニシリンという抗生物質での治療の普及により、不治の病ではなくなりました。しかし、未だに世界規模で感染者が存在し、日本ではここ5年ほどで感染者が急増し、問題となっています。

梅毒は感染症予防法による届出感染症に指定されており、感染者数を厚生労働省が管理していますが、2010年は男女計621例から2015年は2037例と3.2倍に増加しており、女性のみで見ると2010年124例から2015年574と5倍以上の症例数となっています。

梅毒の感染経路

梅毒の感染経路は性行為全般です。膣性交だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスでも感染しますので、いかなる行為でもコンドームの装用が重要ですし、コンドームを装用していても予防しきれない側面もあります。

梅毒の症状

梅毒は発症早期の症状は軽度ですが、無治療のまま放置すると重篤化していく傾向があります。

第Ⅰ期: 感染後3週間以内

感染部位である口腔、陰部、肛門にしこりが出来ます。また、足の付け根(そけい部)のリンパ節に腫れが見られることがあります。

第Ⅱ期: 感染後3か月以上

病原体である梅毒トレポネーマが血流にのって全身に運ばれはじめます。全身、とくに手のひら、足の裏にバラ疹とよばれるうっすらと赤い皮疹ができます。

第Ⅰ期、第Ⅱ期の症状ともに自然に良くなることがありますが、無治療である限り病原体は身体の中に残り、感染性を持っています。

晩期顕性梅毒 感染後数年以上

無治療のまま数年を経過すると筋肉や骨に腫瘍を形成します。ゴムのようなのでゴム腫と呼ばれます。また、心臓や脳、血管にも病変を生じた場合は死亡する可能性があります。

しかし、抗菌薬の発達でここまで症状が進行するケースは現代ではまれです。全ての期間を通して、梅毒に感染している女性が妊娠した場合は胎盤を通して胎児に感染し(先天梅毒)死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがあります。

梅毒の検査・治療

梅毒感染後3週間ほどは検査しても検査値に異常がでない潜伏期です。感染を疑った場合は、その期間を経過した後に採血で抗体価を調べて、陽性患者に関しては抗生物質の投与で治療します。